当医局について
130年以上の伝統ある岡山大学医学部の中で
我々形成再建外科は2000年に設立した最も新しい科の一つです.
しかし歴史に関わらず
人間には生きていくための夢が必要である様に
病院には勿論,医局にも理念がなければ存続する意味がありません.
我々の医局における理念は次の5つです
1) 信頼関係に基づく医療
医療にとって最も重要なことは,患者さんとの信頼関係の構築である.患者さんが最新の医療を求める場合もある.一方求めない場合もある.最適な医療ができない環境のこともある.形成外科医である前に,我々は患者さんの精神面,社会的背景,医療側の環境などを考慮し,信頼関係の基に医療を実施する患者さんの立場に立った‘医師’でなければならない.
2) 特色ある形成再建外科的治療の開発
岡山は,世界で初めて空を飛んだ浮田幸吉や,日本初の庶民の学校を創設した池田光政などのように,独自の世界を作りだす偉人を多く生み出した土地である.我々はこの岡山の土壌を活かし,岡山大学形成外科として独創的な医療の開発を,そして世界へ岡山から発信することを目標にする.
3) 真実を求める姿勢
独創的な医療の開発には何が重要か.良い医療の開発に結びつく糸口は,どこにでも転がっている.特に,術後経過が思わしくない症例には,数多くの‘種’が埋まっている.その種から,太い根・茎を,緑濃い枝・葉を,華麗な花を,そして芳醇な果実を実らせるためには,常に患者さんの所に通う姿勢と,真実を見ようとする熱意が大事である.
4) 個を活かす 個を結ぶ
組織には,高低はあるが二つの壁,縦の壁(上下関係),横の壁(他科との関係や同僚など)がある.これを重視すると,個人の個性が埋もれてしまう.常に,自分のブランドを作ることが大事であり,時にははみ出しても良い.それぞれの個性を活かし,個性を良い医療に結びつけることにより,変幻自在の大きな力を医局は生み出すことができる.
5) 和を大切にする心
すでに掲げた理念を基本に‘心の和’を作ることが大切である.一人で手術ができる訳でなく,ましては良い医療ができるはずがない.医局内のみならず,他科,看護師,コメディカルスタッフとの‘和’を尊重することは,非常に大切である.
医局の歴史
岡山大学形成外科は,2000年に光嶋勲(現東京大学形成外科教授)が初代教授として就任し開設されました.開設当初よりマイクロサージャリー(顕微鏡下手術)を軸として診療を行って参りました.
2004年には木股敬裕が第2代教授として就任致しました.
他の国立大学に先んじて 頭頸部がんセンター,乳がん治療・再建センター,ジェンダーセンター,小児頭蓋顔面形成センター,MRC(Microvascular Research Center)の5つのセンターを設立しました.
複数診療科のスムーズな連携,治療の標準化を目指して更なる努力を続けております.
2000.7.1 光嶋勲 初代教授就任
2003.2.2 第45回 日本形成外科学会 中国・四国支部学会
2003.11.13 第30回 日本マイクロサージャリー学会学術集会
2004.10.1 木股敬裕 第2代教授就任
2005.4.1 MRC(Microvascular Research Center)設立
2008.5.8 乳がん治療・再建センター設立
2009.2.1 小児頭蓋顔面形成センター設立
2010.9 ジェンダーセンター設立
2012.4.1 頭頸部がんセンター設立
2013.9 難波祐三郎 ジェンダーセンター教授就任
蝶のエンブレム
岡山大学形成外科のエンブレムは,池田藩の家紋に由来しています.
儒教による仁政を理想とした岡山藩主池田光政(1609~1682)は, 日本で始めての庶民のための学校を備前和気の土地に造営するように御側児小姓の津田永忠(1640~1707)に命じました.これが, 現在その講堂が国宝と指定されている閑谷学校です.
閑谷学校では, 江戸時代には毎月1と6の日に教授役により四書(大学・中庸・論語・孟子)の講釈が行われてきました.
閑谷学校の聖廟や主要施設の屋根には備前焼の瓦が用いられており, 軒丸瓦には文様があります.池田藩の家紋はこの軒丸瓦の文様にも見ることができます.
私たちは, 池田光政の仁徳に満ちた教えを医療に結びつけたく, この池田家の家紋に修飾を加え, 我々医局のエンブレムとしました.(2006.4.1)
そして、医局・同門会賞を以下のように定めました. (2006.7.1)
Expander賞
医師のみならず、医局関係者、看護師、コメディカルスタッフを含めて、広く医局ならびに同門の発展に寄与した方に.
荒田賞
岡山大学形成外科創立において多大なるご尽力をいただいた荒田名誉教授の名声を称え、基礎的に優れた業績を挙げた方に.
State of the Art 賞
形成外科の最終的な目標である芸術的な外科治療を目指して、臨床的に優れた業績を上げた方に.
翔蝶賞
基本や応用などの実力を十分身につけ、形成外科領域において世界に発信する素晴らしい臨床的・基礎的業績を残した方に.